人間関係と雑記記事

不倫相手を家までストーキング!?

不倫相手ストーキング人間関係と雑記記事
この記事は約5分で読めます。

地方は都市部よりも住民同士の距離が近く、良くも悪くも人間関係がギクシャクしがちだ。コミックバンチとまんが王国のタイアップレーベル「ututu」で連載中の『泥沼食卓』は、そんな地方ならではの人間関係をリアルに描いている。

メンヘラとは? メンヘラ女子の特徴と対応方法!

 本作の主人公は、近所のスーパーに勤める25歳の女性。店長から不倫関係を解消するよう迫られた彼女は、彼の自宅を突き止めてストーキングを始める ……。作品全体には、不倫、虐待、ストーカーなど、陰湿な人間関係や心理描写が満載です。

 作者のいなこさん(@naguruzo_)に、設定や作品への想いを伺ったインタビュー前編に続き、後編では、漫画家になった経緯や『泥の食卓』を出版するに至った経緯などをお聞きしました。

【マンガ】⇒「泥濘の食卓」の第1話を読む

自分のアイデアを活かせるのがマンガ
–稲子:そもそも、漫画を描き始めたきっかけは何だったのでしょうか。

稲子:もともと何かを描くのは好きだったんですが、漫画家になろうとは思っていなくて、あくまで趣味でした。でも、当時はグラフィックデザインの専門学校に通っていて、その方面の仕事を探していたんです。学校の授業でマンガを描く機会があって、広告よりもマンガの方が作るのが楽しいし、自分が考えていることが活かせるんじゃないかと思ったんです。

–専門学校を卒業してから、本格的にマンガを描き始めたんですね。

稲子:そうです。アルバイトをしながら「ヤングマガジン」のちばてつや賞に応募していて、2016年(第75回)にそこで大賞を受賞したので、実家を出て東京に逃げました。

–続いて、「Muddy Dining Table」がスタートした経緯を教えてください。

稲子:受賞はしたのですが、連載には結びつかなかったので、2~3年くらい漫画家のアシスタントをしたり、役所に勤めたりしていました。でも、やっぱり漫画が描きたくて、「コミックバンチ」の月例賞に応募したんです。それが元編集長とのつながりです。

古谷実と華潤編が好きです
作者の稲子さん

–「ヤングマガジン」の熱心な読者だったんですか?

稲子:実は、もともと漫画雑誌は読んでいなくて、よく知らなかったんです。でも、90年代の『ヤングマガジン』の雰囲気はすごく好きで、古谷実さんや、もう亡くなってしまいましたが、花菱薔薇さんも好きでした。特に「ピンクリキッド」という短編小説が好きでした。ヤングマガジン』で連載していると知って、すごく軽い気持ちで送りました。

–現在連載中の『コミックバンチ』については、どのような印象をお持ちですか?

稲子:残念ながら、私も『バンチ』にはあまり詳しくなかったんです(笑)。(笑)でも、古屋兎丸さんの「女子高生に殺されたい」は熱心に読んでいました。

キラキラした青春ものが眩しすぎる。
店長の自宅を特定する主人公 (c)イナコ / 新潮社

–大賞受賞作(「悪い夢であってほしい」)を拝見しましたが、やはりドロドロした作品ですね。もともとそういう作品に惹かれていたんですか?

稲子:ありますよ。ごちゃごちゃしているものがすごく好きなんです。映画や本でも、キラキラした青春ストーリーは眩しすぎて、自分には共感できないんです …………………..。まぶしいからこそ、自分の影が濃くなっていくのを感じ、取り残されていくような気がして。そういう人はきっとたくさんいると思うので、自分が作品を描くときは、キラキラした青春に共感しづらい人に寄り添えたらいいなと思います。

–キラキラした青春に共感できない気持ち、よくわかります。では、どんな人に読んでもらいたいですか?

稲子:普段からちょっと暗い顔をしている人に読んでほしいです。私と同じように、田舎に閉塞感を感じている人に読んでほしいです。キラキラしていないものって、すごく落ち着くと思うんです。例えば、「学校の部活を頑張って、彼氏を作る」みたいな話だと、自分とは違いすぎて……。一般的にはそういう作品のほうが人気があって、みんなに読まれるから、自分が影が薄いことを思い知らされるんです。

嫌な話を通して共感したほうが、心の底から通じ合えるんです。
–稲子さんは、人間の汚い部分など、嫌な面を描くのが得意なんですね。

稲子:ポジティブなことよりも、ネガティブなことに共感すると、深く理解し合えるような気がするんです。ある食べ物が好きという話よりも、職場のある人が嫌いという話をしたほうが、心の絆が強まる。嫌な話を通して共感することで、表面的なことではなく、心の底から通じ合えるような気がします。

–たとえば『土砂降りの食卓』では、産婦人科のシーンで意地悪なアングルを使っていますよね。

稲子:はい、そうです。私自身、婦人科の診察が嫌だ、嫌だとずっと思っていたんです。その違和感を再現するために、自分なりの視点で、効果的な構図を考えて描きました。婦人科検診はカーテンで覆われていますが、女性の脚は大きく開かれているんです。向こうはもう全部見えているんですよ。しかも、大勢の人と自分のことや体のことを話している。だからこのシーンは、普段私がすごく嫌だと感じていることが詰まっているんです。

“これが私の人生よ “っていう長文メール。
自宅前での張り込みストーカー行為(c)稲子/新潮社

–読者の方からの反響はいかがですか?

稲子:「This is my life」みたいな長文のメールをいただいて、うれしいですね。作品を通じて読者とつながれたような気がしますし、寄り添えたような気がします。

–最後に、この記事を読んでくださった方にメッセージをお願いします。

稲子:閉塞感があったり、今の環境が嫌だったりしても、それは全然異常なことではありません。

<本書>を読んで、共感していただければと思います。

稲子
6月20日生まれ、愛知県出身、ふたご座。2016年第75回ちばてつや賞ヤング部門大賞受賞、2020年11月より『ututu』にて「泥濘食卓」連載中。マッディ・スラッシュの食卓 1巻』(バンチコミックス)が発売中。好きな食べ物は豆と乳製品。
ツイッターをやっている。なぐるぞー(@naguruzo_)さん

マディスラッシュの食卓』より。

タイトルとURLをコピーしました